その言葉に、少しだけ心臓が跳ねる。
逃げていたことを指摘された気分だった。
別に考えないわけじゃ無いんだけど、でも、それは学校のみんなや神谷のみんな、そして沙紀とのお別れを指す。
それになんとなく寂しさを感じてしまうのだ。
「・・・ま、まぁさ!」
あたしは、努めて明るく振る舞って話題をそらした。
「だからあたしを売り渡すとしたら、その金額は宝石分の代金になるんだろうね。
そんな早く買い手見つからないと思うから、構えなくていいと思うよ」
そう言ってあたしはマナを安心させるために微笑んだ。
・・・とは言っても、あたしとマナが同時に売り手見つかるとは限らない。
もしかしたら、マナの方が早く売られてしまうかもしれない。
その可能性がある限り、本当は安心なんてできないんだ。
「・・・鈴?」
手探りで、ガラスの破片を探す。
自分の身は自分で守る。そしてマナも、絶対にあたしが守る。
やっと手に掴んだガラスを、ぎゅっと握りしめる。
───今ここに2人しかいない以上、やるしかないんだ。あたしが。
沙紀の力なんて、借りなくても。

