あたしが犯人だったらそうする。
そう思って言った言葉に、マナは寂しそうに微笑んだ。
「・・・たぶん、わたくしが“マナミ”の方だと知られたのよ」
「!!」
「庶民に投げ落とした、影武者の双子の妹・・・家が大枚をはたくわけがないって思ったのでしょうね」
学校に通う“メグ”が、マナだというのはトップシークレットのはず。
いったいどこでバレたっていうんだろう。
考えようとしたけれど、答えに行き当たるのは案外早かった。
「───アイツか・・・」
宇佐美家の執事だなんて、ぬけぬけと嘘をついたあの犯人の首謀者。
きっと本当に一時は執事として宇佐美家に入り込み、情報をどこからともなく引き出したんだ。
「そういうことよ」と諦めたようにマナはまた息をつく。
「それで?あなたは?」
「はい?」
「どうしてただ神谷家にお世話になってるだけの生粋の庶民が、人身売買目的に誘拐されたというの?」
はいはい、どうせ高値にはなりませんよ!
・・・と、毒づくのは内心だけ。

