「・・・ず・・・鈴っ・・・」
誰かに呼ばれる声で、あたしは目を開けた。
なんだかぼんやりしていて視点が合わないけれど、
誰かがあたしの顔を覗き込んでいる・・・?
「鈴!!」
小さい声ながらにもはっきりと呼ばれて、あたしはやっと声の主と焦点が合った。
「マナ・・・?」
「そうよ!良かった、気がついて」
目の前にいる彼女は、ほっと安堵の表情を浮かべた。
最初は意識がぼんやりしていたけれど、だんだん覚醒してきてあたしははっとした。
「マナ、大丈夫!?」と声を上げると同時に、
自分の手が何か後ろ手に硬い物で縛られているのに気付く。
「大丈夫」と答えてくれたマナを見ると、
同じように両手をロープで縛られて柱にくくりつけられているのが見えて、
動けない理由はこれかと一人納得した。
「びっくりしたわ、まさか鈴も捕まってくるなんて」
マナはひそひそ声でそう言いながら息をつく。