「神谷家の“アフロディーテ”を体内に持つ女の特徴と間違いなく一致しております!

背が低い!胸がない!顔普通!オーラなし!言動が野蛮!」

「大きなお世話だ!!」



あたしのことを指さし確認しながら悪口を連発する男に、あたしは思わず怒鳴った。

(なんでこの後に及んで犯人にまでこんなこと言われなきゃいけないのよ!!)



「ふーん」



けど、そんなあたしの余裕は一瞬だった。

犯人の胸ぐらを掴んでいたはずの腕が掴まれ、ぐいっと引っ張られる。



「!?」



その突然の引力に抵抗する術もなく、あたしの体は前につんのめった。

と同時に、訪れた、おなかへの鈍い痛み。

あまりの痛さと勢いに、あたしの視界は一瞬で暗くなる。

体中の力が入らなくなって、目の前の男にもたれかかった。



「おい、連れて行け」



そんな声が聞こえたのを最後に、あたしの意識は完全にブラックアウト。





【自分の付加価値がどれくらいかなんて、すっかり忘れてた】





(そうだ、そもそもあたしが平穏無事でいられたのは、沙紀がいてくれたおかげだったんだ───)