「っていや、さすがにないない」

「何がないのかな?」

「だってさー、別にマンガじゃないんだからさ、そんな・・・都合のいい、展開が・・・」



あたしは言葉の途中ではっと気付く。

・・・。

・・・・・・。

・・・・・・・・・待って、今、あたし誰と会話した?

勢いよく顔を上げて相手が誰かに気付くと、

あたしは思わず「あー!」と相手の顔を指さしてしまった。



「やぁ、一人でどうしたのかな?」



教室で会ったときと変わらない人の良さそうな笑みを称えて立っていたこの男は、

間違いなくマナを連れて行った犯人だった。



「アンタねぇ!!マナはどこなのよ!!」

「・・・・・・・・・おい、本当にこいつか」



すごい剣幕で胸ぐらを掴むと、彼は涼しい顔をして隣に立つ男に問いかける。

どうやら彼の下っ端らしいもう一人の知らない男は「はい!」と大きく頷いた。

こいつかって何、と怪訝な顔をしていたあたしだけど、意味は一瞬で理解する。