───『花火みたいな匂いがしたの!』
自分が言った言葉を思い出す。
そうか、あの匂いに嗅ぎ慣れた記憶があったのは前の生活で良く手持ち花火をやってたからだけじゃない。
自分に向けられる度に後に残っていたからこそ記憶に新しい、
拳銃の火薬の匂いだったんだ・・・。
今更気付いても遅すぎて、あたしは捕まったマナを見てぐっと奥歯をかみしめた。
「形勢逆転ですね」
その声に、また振り返る。
さっきまで人の良さそうな笑顔を受けていた執事さんは、冷徹な無表情に変わっていた。
その手に、こちらへ向けた拳銃を携えて。
「っ」
拳銃を持った上に人質のいる男二人対、沙紀とあたし。
戦況なんて、明らかだった。
マナも怯えているのか、完全に青い顔で固まってしまっている。
「命が惜しければ、素直にここは引き下がりなさい」
執事さん・・・ううん、犯人はそう言った。
引き下がるって言ったって、このままマナを連れて行かせるわけには「わかりました」

