「そう言わないでさー」

「・・・あなた、仮にも人にお願いしている立場なら、もう少し謙虚でいないと話聞かないわよ」

「ごめんなさいメグミ様!」



すぐに態度を翻して両手を合わせるあたし。

その態度を、マナは頬杖をつきながらめんどくさそうに横目であたしを見た。



「いいこと?要はあなたの希望は、あなたの言うモヤモヤの裏返しなのよ」

「うん」

「“SPという形でなく”“そばにいて欲しくて”“色んな顔を見せて欲しい”そういうことでしょう?」

「・・・そういうこと、って言われると多少頷きにくいな・・・」



具体的に、はっきりとそういう願望を沙紀に持ったわけではないから。

眉間に皺を寄せて考え込むあたしに、マナは「客観視してるとそうとしか思えないわ」と言った。

そうなんだろうか。

もし立場が逆転していたら、あたしも同じアドバイスをしていたんだろうか。

目を閉じて逆の立場を想像しようとする・・・けど、無理だった。

どのみち、あたしにマナみたいな発想はない。

諦めて目を開けると、じっとこっちを見るマナのアーモンド型の瞳とぶつかった。