「鈴様!!」
「あー、はいはいはいはい、ごめんなさいねー」
うるさいなぁ、という意味を込めてあたしは自分の両耳を塞いで沙紀を睨んだ。
夏休み、最終日。
ダンスパーティーで無茶をしたことや、マナの誕生パーティーで一人はぐれたことがあってから、
沙紀の心配性はさらに拍車を掛けている。
あまりの口うるささと、夏の暑さに、なんていうかあたしもイライラピリピリ。
息抜きを込めて、沙紀に黙ってこっそりののかちゃんちに行って帰ってきたらこの通りだよ。
家に帰るや否や目を尖らせて般若のように出迎えに来た沙紀に、
案の定と思いつつ眉間に皺がよってしまうのは・・・しょうがないよね?
「どうして鈴様は私の言うことを理解できないんですか!
いいですか、そもそも貴方がこの家に来たのは、」
「あたしが狙われてるからでしょー、分かってるよ。耳たこ」
「分かっているのなら、身勝手な行動は慎んでください!」
心配しているんですよ、と沙紀は腕を組む。
「それは分かってるんだけどさ」とあたしは口を尖らせた。
「まぁまぁ、沙紀もそんなに怒れないでしょ」
そう言って、沙紀の後ろから登場したのは龍世君。