けれど、マナがとても満足そうに、「ありがとう!」と見たこともないような笑顔を見せてくれたから、いいかなーなんて思った。

(「龍世様!」と言っていたのは聞かなかったことにしたい)

(確かに神谷家すごいけど・・・拍車を掛けてしまったようだった)



「あ、でもあなたも幸せになりなさいよ?」

「・・・え?」



マナの笑顔に満足していると、マナの言い出した言葉にあたしは固まる。

そして、「わたくしの目はごまかせなくてよ」と、あたしの耳元に口を寄せた。



「あなた、恋をしてるでしょ?」

「えぇぇぇ!?」



びっくりしたあたしに、マナは「違うの?」と目を瞬かせる。



「だって、あなたいつもドキドキしてるじゃない?」

「え?」

「───沙紀さんといるとき」



晴天の霹靂。

マナを励ますために訪れたはずのあたしに、なぜか爆弾が落とされた。





【ドキドキしてる、なんて絶対に認めないから!】





(だって、認めてしまったらまるであたしがドMみたいじゃない!)
(そんな調教受けた覚えないんだからね!)

(そうやって、心の中でまで言い訳探し)