そうだよね。
どんなに悔しくても、どんなに悲しくても、どんなに怒っても。
姉を、両親を、家にいるみんなを、嫌いになれないんだよね。
きっと少しばかりの期待だってしてしまうんだよね。
ずっとずっと、『愛されたい』『嫌いになれない』という気持ちを隠して戦ってたんだよね。
いつもやりすぎだろうと言うぐらい自信過剰で高飛車な彼女の姿を思い出すと、なんだか胸が締め付けられる気がした。
「・・・少し、休めばいいよ」
そう言ったあたしの言葉に、彼女はもう「生意気」とは言わなかった。
ただ、小さく肩が震え出すのに気付いた。
部屋に飾られている振り子時計がチクタクと音を立てているのが、部屋に妙に響いた。
しばらく経って知らされる、夜9時の音。
そろそろパーティーもお開きだろうか。
沙紀はまだ捕まってるかな・・・心配してるかな。怒ってるかな。
そんなことを考えながら、それでも今あたしは彼女の隣にいたいと思っていた。
9回目の鐘の音が鳴り終わった後。
「マナミ」
小さな声で、彼女が呟いた。

