「あの、ずっとかっこいいなと思って見てたんです!」
「失礼ですが、お名前伺ってもよろしいですか?」
「どちらの家の方ですか?」
すさまじい勢いで詰め寄る女性達と、その迫力に圧倒されてたじろぐ沙紀。
こんなしどろもどろな沙紀初めて見たと驚くと同時に、それだけ沙紀を動揺させる女性のパワーに感心する。
すると、そのちょっとした騒ぎに気付いたのだろうか、沙紀の周りにはみるみるうちに女性の輪が出来ていった。
「あ」
中あたしがローストビーフを食べている間、ずっと沙紀に熱烈な視線を送っていた人を見付けて小さく声をあげる。
さすが沙紀、イケメン。話しかけようと狙われていたようだ。
「じゃぁ沙紀、あたしトイレ行ってくるねー」
あたしは今トイレに行きたいんだ、解放されるのを待っている余裕はない。
頑張れ、という意味を込めて手を振ったら、
「鈴様!お待ちください!」
と必死な沙紀の声が聞こえたけど、あたしは気にせず部屋を出た。
まぁメグんちだし、パーティーだから警備に気合い入ってるだろうし、トイレの一瞬くらい問題ないだろう。
出口すぐの警備員さんにトイレの場所を聞いて、あたしは悠々と廊下を歩いていった。

