「そこの庶民、食べ方が汚いわ」
聞き慣れた声が響いて、あたしは食べようとしていた手と口を止める。
3回目のお色直しが終わり、ダンスパーティーの時よりも深い赤のドレスを着たメグが、目の前に立っていた。
顔には「呆れた」と書いてある。
「メグ大変だねー」
お疲れ、と軽く手を上げて、止めきれなかったローストビーフを口に運ぶ。
軽々しい、とメグは眉を寄せた。
「庶民の貴方には想像もつかないでしょうけれど、これはとても大切なイベントなのよ」
「ふーん?」
「宇佐美家が後世まで安泰であることを知らしめる、それが今後のお付き合いに関わっていくのだから」
要は、お偉いさん同士を繋がりを作るってことか。
「でもそれっておかしくない?」
「は?」
「だってさ、それはいわば第二目標でしょ?第一目標はメグの誕生日祝いじゃん」
あたしの言葉に、メグは大きな目をさらに大きく見開いて、パチパチと瞬きした。
え、そんな顔する?と思いながら、後に引けなくて、
「これ」
と言って、小さな紙袋を手渡した。

