そんなことを思い返しながら、あたしは改めてこの大きな建物を見上げた。
「・・・あれ?」
左斜め上の、部屋。
ちょっと距離があって良く見えないけど、誰か立っている。
その人影がどうしてもメグにしか見えなくて「メグ?」と呟くと、沙紀に「どうかされました?」と聞かれた。
「沙紀、あそこに人が・・・あれ?」
「・・・誰もいらっしゃいませんが」
一瞬沙紀に気を取られ、それでもさっきまでメグらしき人物が立っていた部屋を指さす。
でも、もうそこに人影なんてなかった。
不思議そうに首を傾げる沙紀に、「でも本当に立ってたんだよ!」と言おうとして、その言葉は摘み取られる。
「龍世様!」
そう声を上げて、正面玄関から真っ白なドレスに身を包んだメグが駆け寄って来たのだから。
「お誕生日おめでとう」と微笑む龍世君に、「まぁ」と頬を染めるメグ。
さっきまで、あの部屋にいたはずなのに・・・とあたしの頭はクエスチョンマークだ。

