松葉杖が外れて1週間。

相変わらず驚異的なスピードで怪我が治ってしまったあたしは、夏休みを満喫中です。

(あの時に沙紀に向けられた馬鹿にするような瞳は思い出してもイライラする!)



「鈴様」



自室のベッドに寝転びながら読書感想文の課題図書を読んでいるところにやってきた沙紀の手には、金ぴかの封筒があった。

「何それ」と言うと、「宇佐美さんからです」という返事。



「メグ?」

「・・・本当に、その呼び名は聞き慣れないですね」



あの宇佐美家のお嬢様を呼び捨てなど、と呆れたような表情をする沙紀は放っておくとして。

あたしは上半身を起こして、沙紀から封筒を受け取った。

(ちなみに、宇佐美さんとはダンスパーティーの終盤にちょっとだけ話して、そのときに“メグ”と呼ぶ許可を正式に取ったんだけど)



「・・・『真城 鈴様』・・・うわ、ホントにあたし宛てだ」



少しだけ、龍世君の間違いかとも思ってたのに。

あたしの呟きに、沙紀が「同じ物が龍世様にも届いていたようですよ」と教えてくれる。

「嘘!」と顔を上げて、沙紀と目が合う。