「真城さん、ご気分はいかがですか?」



そんな風に少し雰囲気が和らいだとき、どこからともなく渋いおじさんの声がした。

お父さんの声じゃなかったけど、お母さんとお兄ちゃんと由美が椅子から腰を上げて頭を下げたから、多分先生が来たのかな?

予想通り、やってきたのは少し前に流行ったチョイ悪親父風のダンディな男の人で、その体は白衣に包まれていた。

(ちょっと、お母さん目がハート!!)



「え?あ、はい!おかげさまで元気です」



いつから学校に行けますか?という言葉はぐっと飲み込んだ。

早いって言われても自分の人並みはずれた治癒力に凹みそうだし、遅いって言われてもなんか寂しいし。

あたしの言葉に、先生は「それは何よりです」と優しく目を細めた。



「私は院長の神谷(かみや)と言います。この度貴方の担当医になりました」



え?なんで院長先生が担当医?

その思考と同時に、新たな疑問が次々頭に浮かんでくる。

考えてみれば、ここ個室だし、部屋めっちゃ広いし・・・手術代だって掛かるのに、うちこんなにお金持ちだっけ?

突然の先生からの告白にきょとんとしていると、

(でもみんなは知ってるらしく、驚いているのはあたしだけだった)