残念ながら、本当に申し訳ないくらい心が枯れきっているようで、微塵もそんな思いは浮かばないのだ。
本当にどこに行ったんだ、あたしの女子力。
はぁ、とため息をついていると、真っ先にお咎めが終わったらしいののかちゃんがこそりとあたしに耳打ちした。
「じゃぁ、鈴ちゃんの本命は沙紀様なの?」
「はぁっ!!?」
今度はあたしが大声を上げる番だった。
ジロリ、と鋭い目で沙紀に睨まれるけれど、奴が口を開くより早くあたしはコソコソとののかちゃんに向き直る。
「ちょっと、どうしてそうなるのよ!」
「だって、龍世様に心が動かないんだとしたら、別の方に恋してるのかと思って」
龍世様と肩を並べる方と言ったら沙紀様しか思い浮かばないわ、と言ってののかちゃんは頬を赤らめて微笑んだ。
彼女はミーハーではないけれど、やっぱり女の子らしく恋バナに興味があるらしい。
あたしはもう一度だけ沙紀を見た。
沙紀は不思議そうな顔をしてこちらを見てる。
「ないない。絶対ない」
「あら、どうして?沙紀様も素敵な方よ?」
「ののかちゃんは知らないんだよ!アイツ、ドSで俺様で性格ひん曲がってんだから」

