あたしは目も口もまん丸にして固まったのだが、その言葉を皮切りにみんなが思い思いに話し出す。
「そういえばそうよねぇ、龍世様とても素敵な方ですもの」
「その気がなくても、近くにいたら恋心を持つのが乙女ではなくて?」
「だって、ダンスのお相手だけではなく衣食住を共にされているんでしょう?」
「龍世様も、絶対鈴ちゃんのこと気に入ってるわよね!」
「鈴さんは龍世様のことをどうお思いなの?」
「どう考えてるかって・・・友達、なんだけど・・・」
それ以上でも以下でもない。
(強いて言うならば、絵に関しては本当に尊敬しているという点で普通の友達とは違うけれど)
(そもそも、生粋の庶民のあたしにとって、本物のお坊ちゃまの龍世君なんて住む世界が違う人だ)
あたしは特に深くも考えずそう言うと、彼女たちは「えー!!」と大合唱した。
「お嬢様、そのようなはしたない声を上げてはいけません」
と、それぞれ執事さん達にしっかりとお叱りを受けている姿を見て、あたしは苦笑。

