お兄ちゃんは憎まれ口を叩きながら、溜息をついて首を左右に振って肩をすくめた。
だってあたし健康なこととプラス思考なことくらいしか取り柄ないもん。
リアクションにむーっと口を尖らせる素振りをしながらも、あたしは気づいてる。
みんなが、本当に心配しててくれたこと。
・・・言っておくけど、そんなに鈍くないんだからね。
「うん・・・でも、心配してくれてありがと」
あたしの声はあまりに小さかった。
喉が枯れているし力は出ないし恥ずかしいし、何より酸素の音に消えてるし、届いているか分からない。
けれど由美がゆっくりあたしの髪を撫でてくれたから、
お兄ちゃんが珍しいくらい優しく微笑んでこっちを見てくれたから、
お母さんがこっそり目をぬぐったのに気付いたから、
多分届いているんだと思った。

