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「鈴ちゃん、ダンスの練習は順調?」
そんな話題を問いかけられたのはダンスパーティー前日。
移動教室中の話だった。
移動教室とは言ってもこれから向かうのは授業じゃなくて、行き先は校舎併設の舞踏館。
パーティーの最初で最後のリハーサルが行われるのだ。
「んー、まぁまぁかなー」
「でも、龍世様が練習に付き合って下さっているのでしょう?」
「本当にうらやましいわ!」
「私も一度でいいから龍世様と躍ってみたい!」
そう言ってはしゃぐのは、最近喋るようになってきた龍世君ファンの子達だ。
確かに、好きな人とあれだけ密着できる機会ってないんだろうなー。
最近は妥当沙紀が目標過ぎて、そんなこと気にしなくなってしまったけれど。
ははは、と乾いた笑いで話を済まそうとしていたところ、「そういえば」と言い出した香織ちゃんがとんでもないことを言ってのけた。
「鈴ちゃんは、龍世様に恋をしたりしないの?」
「・・・は?」
想像もしていなかった言葉。

