かっちーん!とあたしの頭で戦闘開始のゴングが鳴る。
もちろん、これが沙紀の作戦だなんて分かってるけどね!!
「見てなさい!!絶対絶対ダンスパーティー出てやるんだから!!」
「誰もそんなこと申し上げてないじゃないですか」
「売られたケンカは買うのが礼儀!」
「そんなヤンキーみたいなことを口にしなくても・・・」
小さい声で龍世君が言ったのを耳にし、あたしはきっとそっちに顔を向けた。
龍世君が目を丸くしてびくりと固まる。
けど、あたしの敵を倒すには、彼の協力が必要不可欠なのだ。
「龍世君!!あたし頑張るからね!!」
龍世君はやっぱり驚いたように目を瞬かせていたけれど、「そうだね」とふんわり王子様のように笑った。
沙紀なんて、ぎゃふんと言わせてやるんだから!!
頭の中には、あたしにひれ伏して泣く、まるでアニメのワンシーンのような沙紀の姿。
だからあたしは気付かなかった。
さっきまで気にしていた龍世君との距離が気にならなくなっていたことも、
沙紀が満足そうに口角を上げていたことも、
そして龍世君がひどく真剣な目であたしと沙紀を見比べていたことも───

