「ななななななっ!」
「ふふ、そんなに動揺するなんて鈴ちゃん可愛いなぁ」
龍世君は楽しそうに笑うと、「同じステップを踏むだけだよ」と言ってくれた。
そうは言ったって、端正な顔があまりに近くにあると、照れるのが筋ってものでしょう。
(あたしにもこんな女の子らしい感覚が残っていたのか、と我ながら考えてしまう)
龍世君は変わらず口でリズムを刻んでくれるけど、あたしの動きはさっきまでと全然違って油を差してないブリキ人形のようだ。
情けないくらい、ぎこちない。
「ぷっ」
「はいそこ、笑わない!」
こらえきれない、と言わんばかりに吹き出した声が聞こえてあたしは振り返る。
案の定、口元を抑えて肩を震わせる沙紀の姿。
なんだかすごく悔しい。
「すみません、あまりに予想通りでしたので」
沙紀はそう言いながらあたしを見て、そしてキラキラとしたエフェクトが背景に付きそうな笑顔で、
「そんな姿をさらすなら、ダンスパーティーは出ない方がよろしいのではございませんか?」
と言い放ちやがった。

