「鈴ちゃん、着替え出来たー?」

「あ、はーい!」



ドアの外から龍世君の声がする。

さっそく特訓だということで、龍世君がダンスの練習を付き合ってくれることになった。

(龍世君には申し訳ないと事態したんだけど、僕もダンスは久しぶりだからと押し切られてしまった)

(というわけで、沙紀は今回監督らしい)

今は帰宅して早々ジャージに着替えたところ。

とりあえずステップを覚えるところから、という意味で足下が見えるようにだ。

ドアを開けたら、あたしのジャージ姿を見て龍世君はケラケラ笑った。



「似合うね。なんていうか、馴染んでる」

「そりゃぁ長年ジャージ着てますから」



そういう龍世君のジャージ姿は違和感の塊だ。

あたしの言葉を拗ねていると捉えたのだろうか、龍世君は「褒めてるよ」と言ってあたしの手を取った。



「龍世君!手!」

「エスコートさせてよ。こんなことで照れてたらダンスなんて出来ないよ」



ね?と微笑む王子様。

ううう・・・なんか気恥ずかしい。

運動神経はそんなに悪くないから踊れるとは思うけど、あたしにしてみれば男慣れしてないことの方が問題かもしれない。