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「終わったぁーーーっ!!!」



試験最終日。帰りのリムジンの中で、あたしは両手をあげて叫んだ。

教室ではさすがに出来ない、という感覚をいい加減覚えてきたあたし。

我慢して我慢して、やっと爆発させた喜びだ。

だから、全身で嬉しさを表現するあたしを今日ばかりは咎めたりしないでいてくれる。



「出来映えはどうでしたか?」



・・・代わりに、笑顔で気分を落としてきたりはするけれど。



「ま、まぁそれなりに空白は埋めたし・・・再試はないんじゃないかなーみたいな・・・」



化学と古文だけちょっと不安が残っているけど、さすがに再試はないだろう。

沙紀から視線を逸らしながら答えると、彼はくすりと笑った。



「鈴様は確かに頑張っておられました。きっと大丈夫でしょう」



沙紀が認めてくれるなんて珍しい!

あたしは喜んで顔をあげたけど、沙紀は変わらぬ穏やかな笑みのまま



「落ちたら後が怖いですから」



やっぱりあたしを突き落とす。