ちょうどうまい棒も食べ終わったところだ。

そのゴミを折りたたんで、カバンに入れようとする。(沙紀にすぐさま取り上げられた)

手の汚れをパンパンと払って、一番上のノートをぱらりとめくった。

出てきたのは、たくさんの英文。

赤や青でマークがされ、解説やポイントがあちこちに書かれている。

少し角張って右上がりな、強さのある見慣れない字・・・それでも誰の字か分かった。



「宇佐美さん、これ・・・」

「勘違いしないでくださる?Aクラスから再試が出ると、クラス全体の尊厳に関わることなのよ!」



この足手まとい!

宇佐美さんはそう言って顔を逸らしたけれど、その横顔は赤くなっている。



「わー、超見やすい!わかりやすい!宇佐美さん頭いいんだー」



沙紀に教えられたポイントがすごく要点良くまとまっているし、覚え方まで書いてくれている。

見れば見るほど参考書より分かりやすいそのノートに感動して、あたしは素直に喜んだ。



「ありがとね!」

「再試とったら覚えてなさいよ!」



宇佐美さんはちらりと横目であたしを見ると、そのまま去って行く。

その背中に、もう一度「ありがと!」と叫んだ。