「ちょっとそこの庶民!」



・・・って思っていたあたしの心の中を読み解くかのように、掛けられた声にため息をついた。

お願いだから、あたしの休息を邪魔しないで欲しい。



「なんですの、その食べ物は!下品な匂いが教室に充満してますわ!

それに、その低質な食材をぼろぼろと床に零すのおやめなさい!」



相変わらず良く喋る口だなー。

そう思って、「はいはい」と言ってひらひら手を振る。

だって、今のあたしはうまい棒パワーでなんでも受け流せるんだから。

「呆れた」と大袈裟に頬を手に当てた宇佐美さんに、あたしは「すいませんねー」と答えておく。



「で?なんか用事ー?」



うまい棒を怒りに来たんだろうか。

龍世君が戻ってきてからは、神谷の名前に突っかかってくることはほぼゼロに等しくなった。

代わりにこうして何かを口実にしては絡みに来るけどね。



「~~~っ」



宇佐美さんはしばらく何か言いにくそうに固まっている。

ん?と言おうとしたところで、突然机の上にノートが数冊バサリと置かれた。



「・・・何これ」