「この絵を見に行こうとしている途中で事故に遭って、それで神谷のおうちにお世話になることになって・・・もしかして、何か龍世君とは縁があるのかもね」
そう言って私が笑うと、龍世君は眉根を下げて、また「うん」と言った。
なんだか不思議な表情で、あたしは「龍世君?」と問いかける。
彼は「なんでもないよ」とすぐにまたいつもの笑顔に戻った。
「・・・で、つかぬ事を伺うんだけど」
「何?」
「その“思い出の絵”を描いたのも・・・龍世君?」
ドキドキしながら、問いかけた。
龍世君はしばらくあたしの顔を見ていたけれど、寂しそうに微笑むとゆっくり首を横に振った。
「そっかぁ・・・そうだよね」
そんな簡単に出会えるわけないか、とあたしは笑う。
期待していた分、少しだけがっかりだけど。
こんなに心を動かされる絵を描く人が、二人もいると思ってなかったから・・・完全に同一人物だと思い込んでた。
「ごめんね、鈴ちゃん」
「え、どうして謝るの?あたし嬉しいよ!こうしてこの絵を見れただけで十分だって!」

