Sの法則-平凡姫と俺様SP-




「・・・これ、龍世君が・・・」



そうだ、神谷龍世。ずっと見たことのある名前だと思っていた。

───あの事故に遭った日に向かっていた展覧会。

見たくて見たくてたまらなかった絵を描いていた人・・・その名前が“神谷龍世”だったんだ。



「鈴ちゃん?」



しゃがんで急に泣き出したあたしを見て、不思議そうな顔をしている龍世君。

あたしはゆっくりと話をした。



「あたし・・・小学生のときから剣道やっててさ・・・中学二年生のときに、関東大会優勝するぐらい強かったんだよね」

「そうなんだ」

「でも、その大会で怪我して、もう剣道が出来なくなっちゃったの」



ずっと続けていたことが、一番の楽しみがなくなったときの絶望感。

あたしはどうすればいいか分からなくて、毎日泣きながら部屋に閉じこもってた。

そんなときに偶然お母さんが誘ってくれた絵の展覧会。

とにかく部屋から出よう、そう思って向かったそこで・・・あたしは、一枚の絵に出会った。