「え?中谷由美でしょ?」
「そうじゃなくてね」
一瞬で突っ込み返された。
ちょっと。由美の顔にも“馬鹿”って書いてあるんだけど。
みんなの表情の意味も、あたしがベッドにいる意味も、よく分からない。
そもそも、状況把握する時間もなければ、あたしはそんなに頭いいわけでもないんだから。
あまりにも訝しげな顔をしていたせいか、お母さんのお説教が終わったらしいお兄ちゃんが「はぁ」と聞えよがしなため息を付いた。
「───お前事故にあったんだよ」
衝撃的な言葉。
ぽかんとしたまま「事故?」とオウム返しすれば、「そう事故」と一斉に肯定された。
その反応に、思ったまま「え?うっそ」と呟くと、お兄ちゃんは呆れた顔をしたままさらに口を開く。
「驚くべきことにホント。
よくわかんねぇけど、内臓に出血?かなんかで手術もしたんだぜ」
「うわぁ、あたし胸ちっちゃいのに」

