「なんで大学卒業してるのに今更高校・・・」
「去年卒業したんだ。
その後、父さんの仕事のアメリカ支部を少し手伝って、ほとぼりが冷めたから帰国したんだよ。
高校は行くつもりなかったんだけど、帰国間際に鈴ちゃんの話を聞いてどうしても会ってみたくなって」
そんなあたしごときのためにもう一度高校とか!
恐れ多くてまた固まると、「勉強は何度してもいいしね」と付け足す龍世君。
勉強なんてその場しのぎができればいいや、というあたしの思考回路と違いすぎる。
さっきまで沙紀にスパルタされていたことを思い出して、あたしははぁとため息をついた。
そのタイミングで、ふっと思い当たる。
「・・・ん?あれ?でも、絵の勉強は?」
「あぁ、聞いたんだ」
龍世君が戻ってくる日、食堂で真央ちゃんがそんなことを言っていた気がする。
そう思って首をかしげたら、龍世君は頷いた。
「それも正解。そっちは完全に趣味なんだけどね」

