でも、
「それとも、私の教え方がいいのでしょうかね?」
「あー、それもあると思う。分かりやすかったよ、ありがと」
「おや?」
でも、感謝はしている。
(だって、こんな手の掛かるあたしを見捨てることなく長時間付き合ってくれてるんだから!)
そんなあたしの思考を読み取ったかのような沙紀の言葉に、思わず素直に肯定と感謝を示せば、沙紀は意外そうな顔をしてあごに手を当てた。
本当に失礼な奴!
「・・・なに、文句ある?」
「鈴様も素直になるということが出来るのだと、感動しておりました」
「お礼言って損した!」
あたしは噛み付くように沙紀に怒鳴って、そして荒々しく教科書を片付け出す。
「せーっかく何かお礼でもしてやろうかとか考えたのに!」
それは嘘じゃない。
いくらなんでも迷惑掛けてる自覚はあるし、少なからず申し訳ないとも思ってる。
それから、さっきから言ってる感謝の気持ちもね!
何かを返したい、と思うのは仁義でしょ。
あたしの言葉に「本当ですか?」と沙紀。

