「ホントに？」



龍世君に至近距離から見つめられ、今度はむち打ちでも起こしそうなくらい首を縦に振る。

その反応に、「安心した」と龍世君は微笑んだ。



「ＳＰとお嬢様の恋愛は認められてないからね」

「・・・そうなの？」

「うん。だから、もしそうなら傷つくのは鈴ちゃんだから、心配してたんだ」



龍世君はそう言って穏やかに微笑んだ。

───なんだろう、今鉛を飲み込んだような感覚が胸をよぎった気がする。

いや、でもあんな口が悪くていつも人をバカにして、ＳＰのくせに俺様な男に微塵でも興味が湧くわけがない。

あたしが自分の内心と戦っていると、そんな考えなんて吹き飛ばすような爆弾を、龍世君は無邪気に落とした。



「それに、僕にもチャンスがあるってことだよね？」

「・・・・・・・・・は？」

「僕、鈴ちゃんのこと気に入っちゃった」





【恋愛はご法度らしい。する気もないけど】





（それにしても気に入ったってどういうことー！？）
（「奇特な趣味の方は大事にしなくてはいけませんね」）
（「沙紀はいい加減黙ってろ！！」）