いったぁぁあぁぁッ!!!



頭のてっぺんから足先まで、それこそ身体中に走った突然の鈍い痛みのせいで、あたしは強制的に我に返った。

え?“我に返る”ってどういうことだ?そう考えながら、徐々に意識が浮上してくる。

っていうか、視界が暗いのはどうして?

真っ暗で何も見えな・・・



・・・なんて展開はなく。

理由は単純明快。



───あぁ、あたしが目瞑ってるからか。



当たり前のことなのに、その思考回路は重く、遅い。

段々覚醒してくる意識の中、耳元で響く“ピッ・・・ピッ・・・”という定期的な機械音。

ドラマなんかでよく聞くその音に、疑問とわずかな驚きを感じながら、あたしは重いまぶたをゆっくりと持ち上げた。

入ってくる光が、眩しい。



「!!  鈴・・・鈴ッ!!」

「先生、502号室の真城さんが目を覚ましましたっ!!」



あまりに光が強すぎてもう一度瞳を閉じる。

けれど慣らすために何度も瞬きを繰り返して目を細めていると、急に枕元がうるさくなった。

だんだん順応してきたぼやける視界に徐々に焦点が合って、

真っ白な背景の中にあたしを覗き込むお母さんとお兄ちゃん、それに由美の顔が見えた。