今の情報だって、本当に“龍世様”が好きなら、求められてる答えを出来なかったことは悪いと思う。
だからって、知ってることは知ってるし、知らないことは知らない。
そのことに、神谷の名前なんて関係ないじゃないか。
彼女の意図はそう、
「あなた、まだ神谷の名前をまぁったく分かっていないのね?」
ただ、“あたしは神谷の名前を背負うのに相応しくない”とあたしに教え込みたいだけ。
そりゃもっとかわいいとか頭いいとかなんか取り柄があったらよかったのにって思わなくもないけどさ。
でもあたしだってこんな状態に陥りたくて陥ってるんじゃないんだけど。
何も知らないくせに、と目の前の彼女を睨みつけた。
「なぁに?反抗するの?庶民の分際で」
生意気ね!と彼女は眉をしかめた。
「別にあなたに言われる筋合いない。
だってその“神谷”の人たちがあたしを受け入れてくれたんだから」
あれ?沙希は違うか?(ま、いいや。)
あたしの言葉に、宇佐美さんは「なっ!」と言いながらかぁっと赤くなった。

