そう、
「ねぇ鈴ちゃん、今度インスタントコーヒーの入れ方を教えてくださる?」
「あ、私も新しいものを手に入れましたのよ。パスタのソースと書かれているんですけれど、使い方が分からなくて」
・・・とまぁ、逆にあたしの庶民感が売りになってる部分もある。
だから、逆にあたしが“お嬢様の生活”を聞くことも、あくまで友達同士の会話の一つなのだ。
(そして、狙われることを防ぐために自宅と友達の家と学校しか行けていないあたしにとって、懐かしいものたちに触れられる数少ない機会でもある)
「あ、そういえば」
いつものように繰り広げられる庶民トークが収まったところで、友人の一人である真央ちゃんがそう言って話題を変えた。
やっと使い方に慣れてきたナイフとフォークを操りながら「ん?」と聞き返す。
「あくまで噂なんですけれどね、今日りゅうせい様が登校なさるそうよ」
「「りゅうせい様が!?」」
「・・・誰それ」
まおちゃんの言葉に、ののかちゃんと香織ちゃん(もう一人の友達ね)が珍しく大きな声を出した。
一方あたしは一人きょとん顔をしながら料理を一口。(あ、これおいしい)

