「鈴ちゃん、大丈夫?」

「なんとか・・・」



相変わらずの呪文のような授業が終わり、解放感に机に突っ伏してしまったあたしの元に優しい声が降り注ぐ。

顔を上げればののかちゃんが「今度私に出来る範囲で教えるね」と天使のような顔をして笑ってくれていた。

あぁ、これだけで癒される。



「鈴ちゃん、ののかちゃん、食堂行きましょう」

「朝見たら今日はAランチが美味しそうでしたわ」



そして。

聞いての通り、あたしにはののかちゃん以外のお友達もできた。

この学校に来て一ヶ月ちょっと、ゆっくりだけどあたしのエンジンも掛かりだしてきてるみたい。

そして、“ののかちゃん”という呼び名が浸透し始めてることもこっそり嬉しかったりする。



「・・・ぶれぜ?ぽわれ?」



食堂前でもいつもメニューとにらめっこ。

眉間にしわを寄せながら全く分からない言葉を呟くと、ののかちゃんが「あのね、フランス料理で・・・」と詳しく説明してくれる。

これもいつものこと。

沙希も最初は「あんなに教えたのに」と家に帰ってからグチグチ言っていたけれど、

最近はこれがあたしとみんなのコミュニケーションの一つになってるからかあまり文句を言われない。