「本当に鈴様は私の教えをことごとく無視して“お嬢様”とかけ離れた言動をされています」
「・・・うるさいな」
「本当に、“神谷”の名前を忘れさせてしまうくらい、鈴様は“鈴様”でしたよ」
沙希が、珍しくあたしを慰めている。
それに気付いて「うん」と頷いてみたら沙希はぽんっとあたしの頭に手を置いた。
「“あたしは庶民だ”と、私にあんなにも噛みついてきた鈴様はどこに行かれたのです?」
「・・・」
「とうとう庶民の誇りさえ捨ててしまったのですか?」
庶民の誇りってなんだよ。と突っ込んだのは心の中で止まった。
沙希の言いたいことは分かる。
あたしはあたしらしくいていいんだと、庶民を気にせず胸を張っていろと、そういうことでしょう?
理解したあたしの顔にはきっと生気が戻ってきたに違いない、沙希も「手がかかりますね」と笑った。
そのとき、
「ま、待って、真城さん・・・っ!!」
必死にあたしを呼ぶ声に、何も考えずに勢いで振りかえり・・・ぎょっとする。

