事件が起きたのは、ののかちゃんと仲良くなって一週間後の金曜日だった。
「野々宮さん」
いつものごとく絡みに来た宇佐美さんと以下二人。
そしていつもと同じような高飛車な態度と自信に満ちた口ぶり。
けれどいつもと違ったのは、彼女たちが呼んだのはあたしじゃなくてののかちゃんの名前だった。
「え、」とののかちゃんは小さく戸惑った声をあげる。
「ねぇ、貴方、この子と仲良くしたって意味ないわよ?」
「「え?」」
宇佐美さんの言葉に、あたしたちは二人で同時に声を上げた。
どういう意味か分からず眉間にしわを寄せると、宇佐美さんは鼻で笑ってあたしを見下す。
「よくも今までわたくし達を騙してたわね」
「騙す・・・?」
「あなた、神谷の関係者でもなんでもないじゃないの」
あー、バレたか。とあたしは頷いた。
たしかに遠くの親戚とか言っちゃってたから、それは騙すことになるのかも知れない。

