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それから、あたしとののかちゃんは急速に仲良くなった。
ペアを組む時は絶対に一緒だったし、教室移動も一緒。
食堂のご飯も一緒に取るようになった。
ののかちゃんのお父さんは、とあるIT会社の社長さんなんだって。
そしてお母さんはデザイナー。
飼ってる犬の写真を見せてもらったら、すっごく可愛くてテンションが上がった。
そんなあたしを見て、ののかちゃんは「今度見に来て」と笑ってくれた。
ののかちゃんと沙希も、それなりに仲良くなった。
最初、ののかちゃんは真っ赤になっちゃって全然沙希と喋れなかったけどね。
(男の人は苦手なんだって。だからお家も執事さんよりメイドさんが多いらしい)
沙希はむかつくぐらいののかちゃんに優しかった。
そのせいで、彼女に「沙希さんって素敵な人ね」と言われた時に本当に気絶するかと思ったよ!
───『私、真城さんと仲良くなれて良かった』
と、ののかちゃんはいつもの花咲くような可愛い顔で笑っていた。
あたしも『一人じゃない』ということに浮かれていた。
だから、あたしたちを決して“いい目”で見てない人たちが何をたくらんでたのかなんて、まったく気づいてなかったんだ。

