「ののかちゃんは帰る?」
「うん、今日はバイオリンのお稽古があるから・・・真城さんは?」
今日はフリー解散だと先生から聞いていたから、すぐに片づけ始めたののかちゃんに尋ねてみる。
すると、やっぱりお嬢様染みた返答が返ってきた。
バイオリンなんて触ったこともないわ、というのは内心。
「あたしはもうちょっとやっていこうかなー」
ぶっちゃけた話、本の中身が意味分からないせいで眠気と戦ってて、まったくもって進んでない。
一人だったらこれでもいいかもしれないけど、せっかく仲良くなれそうなののかちゃんに迷惑掛けたくないからあたしは頑張ることにした。
彼女は「大丈夫?」と心配そうな顔をする。
「ほら、ののかちゃんも知ってると思うけど、あたしあんま出来良くないからさ」
教室で、当てられても何も答えられないでいるあたしの姿をクラスメートなら彼女も知ってるはず。
この学校の内容は一歩進んでるからしょうがないよ、とフォローしてくれたののかちゃんに思わず感動で泣きそうになった。

