「野々宮さんは・・・ののかちゃん、なんてどう?」
名前の最初と最後とっただけだけど、と付け加えると、野々宮さんは目を大きく見開いて口に手を当てた。
そのリアクションに、お嬢様育ちの子相手に無礼すぎたりしたのかな、と内心ヒヤヒヤする。
けれど、固化していた野々宮さんの顔をまっすぐに見ていたらボボボボボッと首から真っ赤に染まった。
「は、恥ずかしい・・・!」
「え、そこ?」
「だって嬉しくて・・・真城さんとお友達、って、ことでしょう?」
真っ赤になって顔を手で覆ってしまったけど、野々宮さんは確認するようにモゴモゴとそう言う。
あたしはびっくりしたけど、でも「うん、ののかちゃん!」と言ったら、彼女はやっと顔を上げて赤い顔のままくしゃりと目がつぶれるくらい笑った。
そんなことをしていると、タイミング良くチャイムがなる。
無駄なところにお金掛けてるなぁと最初は思っていた無駄に高級な音質のチャイムも今となっては聞き慣れたものだ。

