…あった、視聴覚室。
ここで、軽音楽部の演奏がある。
ギターやベースの音が聞こえ、機材をいじる音も聞こえた。
静かに、中に入る。
そこには、スピーカーやいろいろな機材が置かれ、沢山のコードが床を這っていた。
…これでも、わたしは一応スピーカーの位置やらコードがなんやらというのは、わかる方なのだ。
多分、人より少しは。
そんなわたしから見たら、この位置は
(最悪…かな。)
うん、やたらとスピーカーが変な方向向いてるし、マイクの音量も調節しきれてない。
先生が前に立って話しているが、たまにキーンとみみを裂くような音が混じる。
『えー、私たち軽音楽部は、
吹奏楽部と違い、ただ演奏をするだけでなく、音響、音の響きを意識してですね、
スピーカーや機材の位置を自分達で決めるんです。』
こうやって聞いてるとすごいように聞こえるけど、言ってるわりにできてませんからね。
『それではお待たせいたしました、ワンバンド目、[サンシャインズ]です!!』
…これは、こない方がよかったかも。
スピーカーの位置のせいで、ベースとギターが大きく、全体的にバランスが悪い。
音量調節もなってなくて、ボーカルが聞こえない。
「♪~♪~♪~…ッ────…あれ?」
…うっわ、しかもギター途中で音消えたし。
多分コードが原因なんだろうけど。
『っえー、失礼しました。
ギターの方で、なんか…おい、ゆっくん。
大丈夫かー?』
…ベースの彼はウケでも狙っているのか、話すことがないのか。
「…あれ、おかしいな。
♪ッ♪ッ…音が…あれ?」
ギターのコードが繋がっている機材をいじってみたり、音量調節の人を動かしてみたり。
…はぁ、まったく。
見てらんないね。


