わたしは、耳をそばだてた。


「だって、アイツ記憶力良いはずなのに、最近忘れっぽくねーか?」


「そう?」


「あぁ…。

オマエ、なんかしらねぇ?」



東先輩を信用してないワケじゃない。


だけどやっぱり、不安だ。
 




「知るわけ無いでしょ。」


…よかった。


「でも、オレのこと好きって、毎日告白するって言ったのに、

今朝会ったとき忘れてたっぽかったし。」


 
バレてたのか…



「あたしに聞かないでよ!!


本人に聞けば?」



東先輩、ごめんなさい。

嘘をつくのは、苦しいよね。



「てか、それって告白されるのを待ってたってことじゃないの?

俊、アンタホントは符和ちゃんのこと好きなんでしょ?」



え、ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええ!?



な、ないないない!!



「違うに決まってんだろ。」


「えー?

もう、付き合ってあげなよ!!

符和ちゃん可愛いし優しいし、文句なしじゃん!!」



東先輩それは言いすぎです。




「あ、ねぇ、符和ちゃんからなんて告白されたの?」


「あ?

関係ねーだろ。」


な、なんだか話がおかしな方向に…



よし、入るなら今しかない!




「失礼しまーす!!

あれ、先輩!

早いですねー!!


わたしが一番かと思いましたよー!!」




「あ、高、条…」


「符和ちゃん…」




「あれ、どうしたんです?

そんな辛気くさい顔して。」



わたしに聞かれてないと判断したのか、あからさまに先輩たちはホッとした。



「さぁ、練習を始めましょう!」




その後の一ノ瀬先輩こらの視線が痛かったが、なんとか我慢した。