「俊~」
「俊、この音なんだけど…」
「俊、この歌詞変じゃない?」
気になり出すと、すんなりと耳に入ってくる会話。
耳をふさぎたいのに、できない残酷さが身にしみる。
やっぱり、東先輩は…
「なんだよ。」
「東、ここの和音が…」
「ボーカルの指導、こっちも頼むよ東。」
それに、一ノ瀬先輩もまんざらでもなさそうだし。
両思い…なのかな。
きっとそうだよね。
…はぁ…
叶わぬ恋って、分かってたのに。
いざ目の当たりにすると、キツいなぁ。
気付けば他の部員は帰っていて、わたしと東先輩だけになっていた。
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