〖短編〗アオゾラ。―101ページの思い出―




「俊~」


「俊、この音なんだけど…」


「俊、この歌詞変じゃない?」





気になり出すと、すんなりと耳に入ってくる会話。



耳をふさぎたいのに、できない残酷さが身にしみる。



やっぱり、東先輩は…



「なんだよ。」


「東、ここの和音が…」


「ボーカルの指導、こっちも頼むよ東。」






それに、一ノ瀬先輩もまんざらでもなさそうだし。




両思い…なのかな。



きっとそうだよね。


…はぁ…







叶わぬ恋って、分かってたのに。



いざ目の当たりにすると、キツいなぁ。








気付けば他の部員は帰っていて、わたしと東先輩だけになっていた。