「え…それ。」
「オレ袴田がこの靴もって帰るのみたからさ。
もしかしたら、オマエの靴なのかもなーって。」
「それで、袴田さんの家まで行ったんですか!?」
「そうだけど。」
わたっ、わたしのために!?
「す、すみませんっ、そんなお手数を…!」
「は?なに言ってんのオマエ。
困ってんだろ。
有り難く『ありがとう』って言っとけよ。」
「あぁっ、すみません、ありがとうございましたぁぁぁあっ!!!」
「オマエ、慌てすぎだろ。
落ち着け。」
だって、だって…!
先輩が戻ってきてくれた。
先輩がわたしの靴を取り返してきてくれた。
これ以上、うれしいことは、ない!!
「じゃ、帰るか。」
「はいっ!!ありがとうございました!」
わたしは勢い良く頭を下げ、それから玄関へと向かった。


