〖短編〗アオゾラ。―101ページの思い出―



「え…それ。」



「オレ袴田がこの靴もって帰るのみたからさ。


もしかしたら、オマエの靴なのかもなーって。」




「それで、袴田さんの家まで行ったんですか!?」


「そうだけど。」


わたっ、わたしのために!?


「す、すみませんっ、そんなお手数を…!」


「は?なに言ってんのオマエ。

困ってんだろ。

有り難く『ありがとう』って言っとけよ。」



「あぁっ、すみません、ありがとうございましたぁぁぁあっ!!!」


「オマエ、慌てすぎだろ。

落ち着け。」



だって、だって…!


先輩が戻ってきてくれた。


先輩がわたしの靴を取り返してきてくれた。



これ以上、うれしいことは、ない!!




「じゃ、帰るか。」


「はいっ!!ありがとうございました!」



わたしは勢い良く頭を下げ、それから玄関へと向かった。