「ひっ…!」 何とも情けない声を上げてしまった。 「オマエ…高条か?」 暗闇に浮かび上がった陰は、 一ノ瀬先輩のものだったことがようやくわかってくると、 わたしはあからさまにほっとした。 「よ、良かった…」 「なにがだよ。」 「いや、あの…お化けじゃなくてよかったなぁ、と思いまして。」 そう、じつはさっきからずっと怖かったのだ。