「確認するけど、符和。
俺のこと覚えてないだろ?」
その人は、まるですべて知っているかのよう
口振りであたしに話しかけた。
やっぱり、昔知り合いだった人…なの?
「なんだか……懐かしい。
それでいて、どこか悲しい……。
よくわからないけど、あたしはきっと、
あなたに会いたくはなかった。」
なぜか、なんてよくわからない。
理由もなにも察することができない。
もうこれは、理屈じゃない。
あたしの心が、そう叫んでいるのかも知れない。
「符和……。
俺はこの4年間、ずっとおまえを探し続けてきた。
そして、ようやく見つけた。
見つけたんだよ。
俺は4年前の後悔を希望にするためにここへ来た。
もうあのころの俺じゃない。
符和の気持ちに気付きながら、自分のくだらないプライドを守るために、自分自身に嘘をついていたあの頃の俺とは─────…
だから符和、たとえオマエが俺のことを忘れていたとしても。
また、好きにならせてみせる。
もう一度、惚れさせてみせる。
すぐに忘れてしまうなら、何度でも、何度でも思い出させる。
どうしても思い出せないというなら…
また、上書きすればいい。
符和、オマエも覚悟しとけよ。」
それから、誕生日おめでとう、と言って紫やピンクや青の花束をあたしの膝に乗っけてから、風のように去っていった。
「あの方お知り合い?
かっこいい人だわねー…
あら?
これはシザンサスね。
花言葉はたしか────────…」
いつまでも、いっしょに。