〝4年後〟



「今日は、高条符和さんのお誕生日です!」



施設の人が言った。



どうやら今日は、わたしの二十歳の誕生日らしい。



もう、20歳か。



こんな病気になってから、どれくらいたったんだろう。



そして、なぜわたしはずっと、あの曲を聴いているんだろう。



あれはわたしの声だし。



きっと忘れたことの一部だろう。



でも、不思議。


この曲を聞くと、暖かくなれるの───…。








それから、家族は未だにわたしを支えている。



しかし、わたしは家族を家族と分からないのだ。



「ハッピーバースデートゥーユー、

ハッピーバースデートゥーユー、

ハッピーバースデーディアふわちゃーん…

ハッピーバースデートゥーユー!」



わたしはろうそくの火を消すと、皿に盛られたケーキを口に含んだ。


甘い味が、口の中にひろがる。