理由は簡単な事だった。
3日前のクリスマスの日、あたしは友達と行った合コンで知り合った彼氏と
待ち合わせをしていた。
合コンは東京に住む友達が無理やり嫌がるあたしを連れて行っただけだった。
それにあたしは別に彼氏なんて欲しくなかった。
小さい頃から田舎暮らしで男に縁がなかったあたしを
高校で知り合った友達が
「小梅、可愛いし、スタイルいいんだからもったいないよ」
と、ありきたりな台詞で合コンに連れて行った。
別にお洒落する服もなかったから適当な服装で行った。
正直、都会慣れしていないあたしは合コン会場になったカラオケに戸惑った。
あたしは酷い音痴だから。
合コンに連れて行った友達、飛鳥も音楽の時のあたしを見た顔は悲惨だった。
なのに、無理やり歌わされて
音を外しまくって歌った誰か歌手名も知らない曲は、本当に酷かった。
顔から火が出るかと思った。
だけれど、一人の同い年くらいの人が小さく拍手をしてくれた。
髪を、茶色に染めているその人は笑った時にえくぼが出来ていた。
「小梅ちゃん、だっけ?声可愛い!良かったらメアド交換してくんない?」
あまりの想定外の展開だったので驚いた。
男を作る気で来ていた訳ではなかったのに。
あたしは慣れない手つきでその人と、データ交換した。
名前は田上裕輔、と書かれていた。
最初に自己紹介していたのに、もう忘れていた。
初めの印象は、変わった人だった。
それから電車で1時間かけて千葉のアパートに戻った。
ケータイには新着メールが一件届いていた。
あて先は、田上君だった。
