何故、泣くのだ。



屯所に戻り、土方の部屋に
行くと人の人数は半分程に
減っていて、

雰囲気も大分やわらかく
なっていた。

「いやぁ、おかえり龍香君」

そうにこやかに迎えてくれる
近藤 勇と少しバツの悪い顔を
している土方 歳三。

「只今戻りました。」

そう返してやる。

「ニャーン。」

足元にすりよってくるユキを
拾い上げて、原田に倣って
近藤と土方の正面に座った。


「どうやらぁ………」

初めに口を開いたのは近藤だった。

「君を疑うのは間違っていたようだ。」

眉を八の字にしてそういう近藤。

「本当に申し訳なかったね。」

そう言って頭を下げる近藤。


ん、そうでしょうな。
ワタシ、ここ来たばっかだし、
恨みなんて売り買いしてませんて。

「いえ、疑いを晴らすことができて
良かったではありませんか。
人を疑うのもまた、貴殿方の
大事なお勤め。疑いたくて疑って
いるわけでは無いのでございましょう。」

そう言いながら微笑んで、
軽く会釈して見せる。


すると土方が口を開いた。


「あぁ、悪かったな。
観察方の山崎に聞いたとこ、
確かにお前を見たらしい。白い猫を
持ち歩く、男装した女子なんか
京の町のどこを探したってお前くらい
だろうが。

それに、考えてみりゃぁお前が
長州の人間と斬り合ってんのを一番
最初に見たのも山崎だった。」