「わかりました。
原田さん、お手数おかけします。」
とりあえず今のうちに少しでも
疑いを綻ばせ、好感度をあげなければ。
「おぅよっ。まぁ、仕事だしな。」
と、照れ臭そうにはにかむ。
原田さんは、あれだ。その、
ツンツンしてるけどたまにデレる
とかいうやつだ。きっと。
「んじゃ、行きますか。」
そう言って立ち上がる原田。
私もそれにならって立ち上がる。
「いってらっしゃーい」
藤堂のその声に背中を押され、
私達二人は昨日の市場へと
足を進めた。
いってらっしゃい。
何年ぶりかに耳に響いた
その言葉。
きっとあの時のそれは原田に
向けられたものだったのだろうが。
それでも、私は何のわけか、
なんの抵抗もなくその言葉を
自身の耳に受け入れていた。
心地の良いものだった。
「なぁ、望月ちゃんよ。
お前さん、ほんとに予言者なのか?」
はい?
「あっ、いやっ!
別に疑ってる訳じゃなくてだな?!
そのぉ……もしかして俺達の行く末も
知ってるんじゃねーかと思ってな?」
訝しげな表情を見せる私に
慌てふためいた原田は、
早口にそう言ってのけた。
私は少し考えて、こう答える。
「知らないわけではない。とだけ。」
「お??」
どうやらこの男、
見かけによらずかなり
間の抜けた人間らしい。
不思議そうに私を
見つめる彼は、明らかに。
私を変人扱いしている。

